記念配信でファンのメッセージを集めるときの荒らし・誹謗中傷対策
誕生日や周年の記念配信で、ファンからのお祝いメッセージを集めて読み上げる。うれしい企画ですが、メッセージを誰でも送れる状態にすると、悪口や、本名・住所を匂わせる書き込みが混ざることがあります。配信で読み上げたあとでは取り消せません。この記事は、Google フォーム、質問箱のようなサービス、配信のコメント欄など、どの道具で集める場合にも使える考え方と手順です。先に決めておくこと、承認制、NG ワードの選び方、配信直前の確認、届いてしまったときの動き方、配信者と企画者の分担の順に説明します。
公開
集める前に決めておくこと
荒らし対策は、メッセージが届いてから考えると後手に回ります。募集の告知を出す前に、次の 4 つを決めておきます。
| 決めること | 選択肢の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 受付の期間 | 配信の数日前に締める / 配信の直前まで受ける / 配信中も受ける | 期間が短いほど、見て確かめる時間は取りにくくなります。配信中も受けるなら、見る人を決めておきます |
| 公開の範囲 | 集まった時点で全員に見える / 配信で出すまで企画者だけが見る | 他の人のメッセージが見えると、まねた書き込みや悪ふざけが連鎖しやすくなります。見せる理由がなければ、公開は配信の時点にします |
| 承認するか | 承認制(確認したものだけ出す)/ 先に出して問題があれば消す | 配信で映す・読むものは、承認制にするのが基本です。理由は次の節に書きます |
| 誰が書けるか | 誰でも / ログインした人だけ / メンバーだけ | ログインを求めると荒らしは減りますが、参加する人も減ります。企画の規模と、荒らされたときの痛手で決めます |
あわせて、募集の告知に「配信で読む前に確認します」「他の人を傷つける内容や、個人が特定される内容は読みません」と一言入れておきます。ルールを先に見せるだけで、悪ふざけが減ることがあります。
Google フォームには「回答を 1 回に制限」する設定があり、使うと回答者は Google アカウントにログインする必要があります。同じ人が何度も送る荒らしは減らせますが、ログインしたくない人は書きにくくなります。設定の場所は Google フォームのヘルプ にあります。
承認制と事前確認の流れ
承認制は、届いたメッセージをいったん企画者だけが見られる状態に置き、確認したものだけを配信に出す方法です。専用の機能がない道具でも、「全部の回答を表計算に集めて、読んでよいものに印を付ける」だけで同じことができます。
- 届いたものを、出す前の置き場に集めるフォームの回答表、質問箱の受信箱など、企画者しか開けない場所に集めます。配信画面に直接つながる場所には、確認前のものを置きません。
- 1 件ずつ、3 つの印のどれかを付ける「読んでよい」「読まない」「迷う」の 3 つで十分です。迷うものは自分だけで決めず、配信者本人に判断してもらうか、読まないことにします。
- 読んでよいものだけを、読み上げ用にまとめる読み上げ用の原稿は、確認を終えたものだけを写して作ります。元の表をそのまま画面に映さないでください。「読まない」の行が映り込む事故が起きます。
- 配信の直前にもう一度通して見る時間が空くと見落としが出ます。最後の通し読みは、配信の少し前に別の人がやるのが理想です。詳しくは「配信に出す直前の確認」で説明します。
承認制にすると、確認の手間は増えます。その手間を減らすために、あとで説明する NG ワードや連投の制限を組み合わせます。ただし機械の確認は漏れるものです。人の目で確かめる手順は外さないでください。
NG ワードの選び方
NG ワードは、含むメッセージを自動で止めたり、確認の優先度を上げたりする仕組みです。使えるかどうかは道具によって違いますが、考え方は共通です。
入れておくとよい言葉
- 悪口・脅しの言葉。人に向けた命令や、容姿・人格への悪口。推し活の大げさな言い方(「尊くて死ぬ」「かわいすぎて犯罪」)まで止めてしまうと、確認する数が増えるだけなので、人に向けた形に絞ります。
- 個人が特定されやすい言い方。「本名」「住所」「中の人」「前世」「身バレ」のような言葉や、電話番号・メールアドレスの形。
- 過去の騒ぎで実際に出た言葉。炎上や荒らしの経験があるなら、そのとき使われた言い回しがいちばん役に立ちます。
守りたい言葉を NG ワード欄に書かない
見落としやすい落とし穴があります。本名、旧名、住所、学校名といった、守りたい情報そのものを NG ワードの一覧に書いてしまうことです。
NG ワードの一覧は、道具によっては参加者の画面や通信に載ります。共有の表やチャットで、モデレーターの間で回すこともあるでしょう。一覧が画面の保存や共有の設定ミスで漏れると、止めたかったはずの言葉を、一覧から知られてしまいます。
- 一覧を参加者の端末に渡す道具(ブラウザ上で照合するもの)では、本名などを入れません。
- 本名などを止めたいときは、一覧が参加者に見えない場所で照合できる道具を選ぶか、確認する人が頭の中で照らし合わせます。
- モデレーターに渡す資料にも、本名そのものを書かず「本名、旧名、出身地に関する言葉は読まない」とだけ書いておきます。
- 漢字の名前は、読みやローマ字でも書かれます。照合に頼るなら、表記ゆれも別の言葉として考えます。
NG ワードは、伏せ字や空白を入れる、字を変えるといった書き方ですり抜けられます。止まらなかったから安全、とは考えないでください。止まったものだけを見るのではなく、承認制の確認と組み合わせる前提で使います。
連投・大量投稿を抑える
荒らしは、同じ人が短い間に何件も送ってくると、確認の手が回らなくなります。続けて送れない間隔を設けるだけで、確認する量を抑えられます。
- 1 人 1 回に絞る。メッセージ企画なら、1 人 1 通で困ることはあまりありません。Google フォームの「回答を 1 回に制限」のように、道具に設定があれば使います。
- 投稿の間隔をあける。YouTube のライブチャットには「低速モード」があり、同じ人が続けて送れるまでの待ち時間を指定できます。チャンネルの所有者・モデレーター・メンバーには適用されません。
- 参加できる人を絞る。ライブチャットはチャンネル登録者だけ、あるいはメンバーだけに限定できます。
- 受付を止められるようにしておく。荒らしが始まったら、すぐ受付を閉じられる状態にしておきます。誰がその操作をするかも決めておきます。
YouTube のライブチャットで使える機能は、YouTube ヘルプの「ライブ チャットをモデレートする」 にまとまっています。単語のブロック、不適切な可能性のあるメッセージの自動保留(強さは「なし」「標準」「厳格」から選びます)、モデレーターの指名、繰り返し不適切なメッセージを送る視聴者の非表示などがあります。配信後のチャットのリプレイは、動画ごとにオフにもできます。
配信に出す直前の確認と、読み上げの事故防止
配信は取り消せません。事故の多くは、悪意のある投稿ではなく、確認の抜けと画面の映り込みで起きます。次の点を、配信の前に見ておきます。
- 読み上げる全件を、声に出して読んでみる。黙読では気づかない、読み方によって別の意味になる言葉や、名前の読み間違いが見つかります。
- 名前・場所・学校・勤め先が書かれていないか見る。メッセージを書いた人本人の情報も、推しの周りの人の情報も対象です。善意で書かれた「〇〇さんのご出身の町で」のような一文でも、配信者本人が出したくない情報かもしれません。
- 他の人への言及を見る。他の配信者、スタッフ、別のファンを名指しした内容は読まないほうが安全です。
- 画像や手書きは、画面に出す前に自分の目で見る。配信画面の上で初めて見る、という状況を作りません。
- 画面に映る範囲を確かめる。確認用の表、「読まない」の行、通知、他のタブが映り込んでいないか、配信前に画面共有の範囲を見直します。
- 最初と最後に読むメッセージは、特に念入りに。配信の印象が決まる場所です。迷うメッセージは、どこにも置かずにはずします。
配信中に、読む直前に問題に気づいたときの合図も決めておきます。「これは飛ばす」と一言で伝えられる合図があれば、生放送でも落ち着いて対応できます。
悪意のあるメッセージが届いてしまったとき
- 反応しない。公開の場で取り上げない返信や名指しの注意は、相手を喜ばせたり、他の人の目にふれさせたりします。まず非表示にして、配信で触れません。
- 消す前に、記録を残すあとで相談や通報をするときに、記録が要ります。投稿の画面のスクリーンショット、投稿の日時、投稿の URL を残しておきます。消してから残そうとしても残せないことがあるので、順番は「記録、非表示」です。
- 送った人を止める使っている道具のブロック、制限、非表示の機能で、その人の投稿が今後届かないようにします。YouTube のライブチャットなら、繰り返し不適切なメッセージを送る視聴者のチャットとコメントを、他の人から見えなくできます。
- 各サービスの窓口に報告する投稿されたサービス(YouTube、X、質問箱など)には、それぞれ報告の機能があります。規約違反として扱われるかどうかはサービスが判断します。
- 必要なら外部の相談窓口を使う内容が重い、繰り返される、実害が出そうなときは、一人で抱えずに相談します。窓口は次の表のとおりです。
| 窓口 | 何をしてくれるか | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 違法・有害情報相談センター | 総務省の委託事業。インターネット上の違法・有害情報について、対応の助言や情報提供をします。無料 | 削除を代行する窓口ではなく、自分で進める手続きの助言が中心です |
| セーファーインターネット協会の誹謗中傷ホットライン | 投稿されたサイトに、利用規約に沿った対応を促す通知を送ります。無料 | 削除は保証されず、投稿者の特定や法的な手続きはしません。連絡は本人からが原則で、スクリーンショット・日時・URL を用意します |
| 法務省 インターネット人権相談 | 法務局の職員や人権擁護委員が、必要に応じて調査をして援助や調整を検討します。電話は「みんなの人権110番」(0570-003-110) | 偽サイトへの注意が案内されています。必ず法務省のページから入ってください |
| 警察(サイバー事案の相談) | 都道府県警察の相談・通報の窓口。人命に関わる事案(殺人予告など)は最寄りの警察署に通報します | 緊急のときは 110 番です |
投稿者の特定や損害賠償といった法律上の手続きが必要かどうかは、この記事では判断できません。上の窓口か、弁護士などの専門家に、記録を見せて相談してください。
配信者本人と、まとめ役(企画者)の分担
ファンが企画して配信者に贈る場合も、配信者自身が集める場合も、分担を決めておくと迷いません。次の表を、そのまま使えます。
| 役 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 配信者本人 | 読む順番とトーンの決定、迷うメッセージの最終判断、配信での反応 | 届いた悪意のあるメッセージを、全部自分で読むこと(心の負担が大きいので、まとめ役が先に受け止める) |
| まとめ役(企画者) | 募集の告知、受付の開け閉め、1 件ずつの確認、記録の保存、通報、読み上げ用の原稿作り | 迷うメッセージを一人で決めること。本人かもう一人に聞く |
| 確認の補助(いれば) | 配信直前の通し読み、配信中の「飛ばす」の合図 | 確認用の資料を他人に見せること |
ファンの企画で本人に贈るサプライズなら、まとめ役が確認の大半を引き受けます。配信者が自分で集める場合も、可能なら信頼できるモデレーターに最初の確認を頼み、本人が悪意のあるメッセージを先に読まなくて済むようにします。
推しログのデジタル寄せ書きでの対応
ここまでの内容のうち、推しログのデジタル寄せ書きでは、次のことが設定でできます。作り方や配信での見せ方は 記念配信のデジタル寄せ書きの作り方 に書いてあります。
- 承認制(既定はオフ)。オンにすると、新しい投稿は作成者が承認するまで公開されません。
- NG ワードと、本名などの欄を分けています。NG ワードの欄は参加者の端末にも届くので、本名は別の「本名など、出したくない言葉」の欄に入れます。こちらは参加者には渡さず、サーバーで照合します。
- 気になる言葉は確認待ち。悪口や決めつけ、身バレにつながる言い方、電話番号・メールアドレスの形を含む投稿は、公開されずに確認待ちになります。確認待ちの本文は、押すまで伏せてあります。
- 連投の間隔。同じ人は 30 秒あけないと、続けて投稿できません。
- 制限とゲスト投稿の停止。荒らす人を 24 時間、またはそのボードではずっと止められます。ログインしない投稿を止めて、Google ログインのみにも切り替えられます。
読み上げの対象に、非表示・承認待ち・確認待ちの投稿は入りません。ただし自動の確認は完璧ではないので、この記事の「配信に出す直前の確認」は、どの道具を使うときも省かないでください。
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